全国で広がりを見せる空き家の再生プロジェクト

Pocket
LINEで送る

現在、各自治体や田舎の地方等で問題になっているのが家主不在の「空き家」問題です。「空き家」という言葉はその文字の通り住む人がいない状態の家ではありますが、実は所有権を持つ方がいる事が多いのです。なぜ、そのような事が起きているのかと言えば、元々は誰か住んではおりましたが高齢となった家主が死亡したり、介護施設に入った、もしくは息子や娘夫婦と一緒に暮らす事になる方もいます。その結果、家がまだ存在している状態でありながら住む人がいないという状態の空き家が近年増えてきており、各自治体や持ち主が頭を悩ませている現状があるのです。これは決して対岸の火事ではなく、人によってはいつか降りかかる問題でもあるのです。

1.空き家の問題点

例として、亡き両親が住んでいた家をその息子が相続で所有権を手に入れたりしても、場所が飛行機や新幹線を乗り継いでやっといけるような地方にある家に住む事はあまりないでしょう。親と子が離れて暮らしている場合、子のほうでは今住んでいる家もありますし、仕事にも就職していることがほとんどです。さらに場合によっては配偶者がいて子供まで生まれているパターンもありますので、相続で手に入れたとはいえわざわざ遠い家に今の暮らしを捨ててまで引っ越す事はあまり無いと言えるでしょう。しかし、空き家を相続した以上は放置したままだと、様々な問題が持ち主に降りかかる事になります。

1-1.固定資産税の支払い、その他の出費

固定資産税とは地方自治体に納める税金であり、土地や家屋を所有している人に課せられる税金であるため、当然の事ですが両親の家を相続した場合はその家の固定資産税まで支払う必要があります。しかも、住んでいる人がいないのにも関わらず、数万~十万円近い固定資産税を年間で納めなければなりませんので、家計にも打撃を与えてしまいます。また、遠方にいるために管理ができず、ある日知らせがあって空き家が倒壊してしまったために工事費が発生したり、その地域で災害が起きて家屋がボロボロになってしまったりすると修繕費が発生するリスクもあるのです。

1-2.治安と景観の悪化

無人となった空き家を毎日見に行く人はあまりいない(遠方だとさらに行きにくい)ため、ある時久しぶりに立ち寄ってみたら空き家が大変な事になっている事もあります。例として生ゴミが不法投棄されていたせいで、害虫や害獣によってとても汚い状態になっていたり、心無い人によってラクガキや破壊されてしまっている事もあります。こうなるとゴミを処分する手間や壊されたりした箇所の修理代の出費が重なってしまう原因にもなります。また、遠方にいるために管理ができず、知らない間に不審者が住み着いていた、放火されてしまったというケースもあり、地域の治安の悪化にも繋がりかねないのです。場合によっては空き家の周辺に住んでいる人達から訴訟を起こされたり、トラブルの原因にもなる事があります。

 

2.空き家の再生プロジェクトについて

地方や田舎の自治体が頭を悩ませており、持ち主の頭も悩ませる「空き家問題」はいつ自分の身に降りかかるかわからない問題です。いっそのこと解体してしまえば倒壊等の恐れもなくなりますが、解体費用は平均で50~100万、さらに家が大きかったり、特殊な解体法が必要な設備やコンクリートや鉄筋を使った家だったりするとさらに出費が大きくなります。ただでさえ一般人にとって50~100万近い解体費はネックであり、結局ほったらかしにしてしまっているしかない状態が続きます。しかし、そうしていると固定資産税や倒壊の恐れもありますので、「何とかしたい」という方は多いのではないでしょうか。そこで、今日で自治体が取り組み始めているのが「空き家の再生」プロジェクトです。

2-1.空き家の再生プロジェクトって何?

家主がいなくなってしまった空き家は放っておくと様々なトラブルが起きます。そこで、空き家を再生して再利用するという取り組みが自治体や大学の学生達を中心に広がっており、いくつかの成功例まで出ております。例として空き家の再生を目指していた方々が、特徴的な建築で趣のある空き家を持ち主から安く購入し、あまり費用をかけずに家の修繕をおこなって再生しました。そして再生した空き家の移住者をインターネット上で募った所、何十件と言う移住希望の応募が殺到した事があります。結果として、趣のある建築方法で建てられた家を気に入った移住者に再利用して貰う事ができました。空き家の持ち主も思い出のある家をわざわざお金を払って取り壊す事無く、むしろ空き家が少しでもお金に変わり、再生した事によって新しい移住者にまた家として使って貰えた事に満足できました。

2-2.空き家の再生例

空き家の再生は「修繕などをしてまた人が住めるように空き家を復活させる」だけでなく、他にも空き家を別の用途に改築したりする事もできます。以下がその例です。

2-2-1.空き家を事務所に再生する

解体が難しかった空き家を事務所に再生し、起業を考えていたが都市部のオフィスビルが高すぎて手が出せない起業家の方に事務所として貸すことができました。借り手側も安い家賃で事務所を借りる事ができたため、持ち主、借り手共に満足行く結果となりました。

2-2-2.空き家をシェアハウスに再生する

大きな空き家だったので解体費用が高額になっていたため、解体を悩んでいた。しかし、空き家を若者達のシェアハウスとして再生したことで家賃収入を得る事ができるようになり、若者達にとっても広い家を安く借りる事ができて非常に助かったという例があります。また、海外からの旅行者が増えている今ならば、空き家を民泊に利用できないかと言う試みも検討されております。

2-2-3.空き家を福祉施設に再生する

せっかくバリアフリーの改築をしたのに住む人がいなくなってしまった空き家を福祉施設として再生し、介護施設を展開している企業に売却する事ができました。結果として高齢化が進む地域の貢献にも繋がる事になり、バリアフリーにするためにかけた費用も回収することができたのです。

 

3.まとめ

空き家を解体するのはお金もかかりますし、生まれ育った思い出のある家を潰すのは嫌だという方もいるでしょう。しかし、空き家を再生する事でまた新しい移住者に使ってもらったほうがはるかに有意義ではないでしょうか。もしも空き家に困っている場合、空き家を再生しようと考えているNPOや自治体について調べ、有効活用できないか相談してみましょう。

Pocket
LINEで送る

この投稿へのコメント

コメントはありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

この投稿へのトラックバック

トラックバックはありません。

トラックバック URL