使える空き家を有効利用|空き家再生等推進事業とは?

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近年、日本の地方等で問題となっているのが「空き家問題」です。空き家問題とは文字通り手つかずの空き家が増えてきている問題であり、空き家周辺の近隣住民や地方自治体の頭を悩ませております。

空き家が増えた背景として、子供が成人して仕事のために都市部に住み、その後で実家の親を呼び寄せて一緒に都市部に住む等で、今まで住んでいた実家が手つかずのまま放置されてしまっているという例があります。
また、空き家になる家のほとんどが建物として古いため、不動産屋に売ろうと思っても大した価値も無く、かといって解体工事をする費用も数十万円かかる事から一般人では空き家の後始末が出来ません。しかし、空き家を放置する事で以下のような問題が起きていることも事実です。

1.空き家が引き起こす害とは?

空き家は手つかずの状態である事が多く、また持ち主がいたとしても遠くに住んでいたりすると、毎日見に来る事は出来ません。そのため、人目も行き届きにくくなってしまい、様子を見に帰ってきたら大変な事になっていたという事もあります。以下がその実例や考えられる事態となります。

1-1.倒壊の恐れがある

空き家になる原因として「建物が古い」と言う事もあり、建物の耐震性も非常に不安な状態になるために大きめの地震・災害が発生した時に建物が倒壊する危険性があるのです。特に寒冷地だと雪が積もった時の除雪作業をする人がいないと、屋根に積もった雪の重みでも空き家が倒壊する恐れがあります。空き家が倒壊すれば後始末を要求されてしまいますし、他の家に被害が及んだ時はその賠償金まで発生します。

1-2.衛生面の悪化

空き家状態の家は野生動物にとって格好の住処となってしまいます。滅多に人が訪れない家だと野生動物も集まりやすく、そこで餌を食べたりした食べカス、糞尿によって家の衛生状態は悪化してしまいます。また、空き家はゴミ等も不法投棄されてしまう原因となってしまい、庭がゴミだらけになったりするとそれだけて周囲の衛生状態も悪化してしまい、近隣住民にも迷惑がかかってしまいます。

1-3.治安の悪化

空き家が引き起こす問題点は環境や衛生面だけではありません。空き家という人目が付かない場所であれば不審者が住み着いたり、ウロついていたりする事があるからです。また、空き家である事を良い事に壁に落書きをしたり、中に入って物を壊す、不審火が発生する事もありますので、空き家が犯罪の温床になってしまう可能性もあるのです。そうなると近隣住民や地域の治安悪化に繋がってしまい、その地域の住民は安心して住むことができなくなってしまいます。

 

以上から空き家は放置しているだけでも周囲や持ち主にデメリットしかもたらしません。とはいえ、解体工事費用が無いために手が付けられないと言う方も多くいるため、空き家問題は決して対岸の火事ではないのです。

 

2.空き家再生推進事業とは?

地方で進む空き家問題は個人や自治体だけでは中々対処が難しいのです。その理由として一番のネックが費用であり、解体工事を依頼するとしても何十万円という予算が必要であるために一般人にとっては大きな出費です。また、空き家に対する自治体の対応もバラバラであり、条件に中々当てはまらないために倒壊の恐れがあるのに取り壊せない空き家もまだまだ多くあるのです。

そこで、国交省が今進めているのが「空き家再生等推進事業」と呼ばれる空き家の再生プロジェクトで、全国にある空き家に対する再生事業がスタートし始めたのです。この事業における効果として期待されるのが、自治体や協力する民間の事業者が地域活動や地域住民の為に空き家を取り壊すだけでなく、改装して人がまた住めるようにしたり、地域の交流拠点となる公民館とするための支援になると考えられています。

2-1.空き家再生推進事業が始まった背景

国交省も元々は自治体に地域の整備をするための「社会資本整備総合交付金」という予算を配り、地域の改善・整備を自治体に任せていました。しかし、この「社会資本整備総合交付金」の使い道は道路や橋といった地域の住民全てが利用するインフラ関係に使われていることが多く、空き家に対して使われることはあまり無かったのです。

そこで国交省は空き家をピンポイントにした「空き家再生等推進事業」を推進し、地方の空き家問題解決に向けた動きを始めました。実例として、神戸市のような大きな都市でも現在空き家がどんどん増えており、その数は神戸市全体で見れば約10万戸近くになっています。そこで、平成28度(現在は募集終了してます)に神戸市が「空き家再生等推進事業」で、神戸市にある売りにも解体にも出されていない空き家を改修工事をして利活用したい事業者に対し、補助金を交付したという例もあります。

2-2.空き家再生推進事業で自治体支援

国交省が進める「空き家再生等推進事業」は民間企業と協力し、空き家を人が住める、住みたいと思える状態まで再生する事にあります。また、地域によってバラバラだった空き家に対する対応基準の統一化も図り、空き家への対応をしやすくなるように見直しも行うようになりました。

空き家の再生に関しては自治体でも「空き家を福祉施設に再生する」等の転用、どうしても住めない空き家の解体工事、生活が苦しい人向けに空き家の改装工事を行って人を呼び込む取り組みをしてきました。しかし、費用が少ない自治体だと空き家の再生も進みませんので、国交省は「空き家再生等推進事業」によって空き家問題を解決したい自治体の支援に乗り出したのです。

なお、この「空き家再生等推進事業」は自治体向けに行われている事業であるため、個人で空き家をどうこうしたいという方へ向けての制度ではありません。しかし、「空き家再生等推進事業」で支援を得られた自治体によって、これまで空き家を何とかしたいと考える個人に対して支援・補助を行えるようになるかもしれません。

2-3.空き家再生推進事業の課題

国交省が進める「空き家再生等推進事業」で自治体が支援を得る事ができれば、自治体にとっても空き家の持ち主にとっても悩みの種である空き家を再生し、地方活性に繋げる事もできかもしれません。しかし、「空き家再生等推進事業」にはまだまだ課題が残っております。一番の課題は「空き家再生等推進事業」に割ける予算がまだ少ないと言うことであり、大規模な対策がまだまだできるわけではないのです。また、民間企業の協力も必要ですが、民間企業もボランティアではありませんので支援が弱いと空き家問題へ本腰をあげることができないのです。

 

まとめ

「空き家再生等推進事業」によって空き家問題を解決したい個人や自治体、事業者を支援できれば、地方の活性化や空き家の問題も解決していく可能性があります。そして、民間事業者にとっても空き家を利用した新しいビジネスモデルの誕生にも繋がるかもしれません。

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