持ち家を有効活用する|リバースモーゲージのメリットとデメリットとは

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近時、現金のない高齢者が住居を担保にして老後の資金を借りるシステム、リバースモーゲージが耳目を集めています。このリバースモーゲージとは何なのか、また、住宅ローンが残っていても利用可能なのか、様々な視点から、そのメリットや特徴、デメリットなどをまとめてみました。

1.リバースモーゲージとは

リバースモーゲージとは、要するに収入はないものの、自宅は所有しているという高齢者が、自宅を担保にして銀行を始めとする金融機関から融資を受けて、毎月年金という態様にて一定の収入を確保していくための手段です。

契約によって、一括にするか、あるいは、都度必要な金額を得るといった方途が存在します。もし、事業をしようとしているなどといった特段の事情を除けば、その資金の使途は借り入れした人の自由となります。

アメリカでは、1960年代から取り扱いがあるようですが、日本では、1981年より、リバースモーゲージを取り扱いを開始させています。その後、銀行のみならず、自治体とかでも取り扱っていたようですが、バブルの崩壊によって、不動産の価格が暴落したために、取り扱いを辞めざるを得ない状況となりました。

2000年あたりまで、リバースモーゲージはなりを潜めていたのですが、2000年頃から日の目を見るようになったその理由とは、公的年金に対する不信感に加えて、医療費過多、定年後に雇用が見込まれないことなどに起因しており、つまり、社会的な問題点が老後への不安を著しく増大させていることにあります。そして、厚生労働省を始めとした公的機関によっても、リバースモーゲージを採用する動きがみられています。

これを契機として、多くの地方銀行などが取り扱い始め、2013年あたりではこれが顕著となってきました。現在は、3社のメガバンクによる取り扱いが存在しています。

2.リバースモーゲージの仕組みやメリット

リバースモーゲージは、自宅を担保にして融資を受けるというものですが、融資を受けた本人が死亡すれば、遺族が家を売却することが通常です。つまり、死亡するまではその家に居住することが可能なのです。ローンが借りることが困難な状況であっても、自宅さえあれば、利用可能な点がメリットです。その反面、デメリットは子供に持ち家を譲らないということですが、子供がその家に巨樹しないのであれば、相当有用なのではないでしょうか。

具体的なシステムは、金融機関によって違いがあるのですが、契約当初に一括で資金を得るというもの、月ごとに、あるいは、年ごとに決まった額を得るもの、利用限度額を設定した後に、都度、自由自在に受け取るもの、が基本として存在し、これらを組み合わせたものもあります。

返済方法にいたっても、各金融期間に応じ、または、契約によっても違いがあるのですが、月ごとに返済していくもの、月ごとに利息のみを払うもの、死亡したあとに一切合切を返すことから、生存中は、何らの返済をしなくてもいいものなどが存在します。

3.リバースモーゲージの具体的事例

ある銀行のリバースモーゲージは、事業や金融商品に密接に関わるもの以外であれば、その利用用途に対しては、特に言及することはないのですが、別の銀行は、家のリフォーム用途とか住宅の入居費用に限局するなどといった感じで、融資した現金の利用用途の制限の有無が大きく異なっています。

民間でなく、公的期間による融資は、あくまでも低所得者向けの政策として存在するもので、所得が多ければ、利用できない場合もあります。

一般的には、住宅ローンを返済完了したもので、かつ抵当権がないことを必要要件とすることが多いです。しかしながら、リバースモーゲージによって融資された金員を、住宅ローンの返済に充当することを許している金融機関も存在しますから利用してみてはいかがでしょう。生活に余裕がでてくることは明らかです。

4.リバースモーゲージのリスクとは

リバースモーゲージに供される土地に関しては、ある一定の期間ごとに評価されるというのです。つまり、地価が大幅に上下するような特段の事情があれば、要注意というわけです。もちろん、土地の価格が上がればいいのですが、下落して担保割れに至るような場合には、契約の満了の前に、融資打ち切りになることも懸念されます。

金利が流動型を採用しているために、万一金利の上昇により、融資の残高が増加することにより担保割れを惹起してしまうこともあり得ます。あまりに長生きであれば、融資不可となるほか、利息のみの支払を余儀なくされる場合もありますから、この部分には留意すべきです。

こうしたことから、融資額には、評価額全部を融資してくれるようなことはなく、そのうちの50ないし70パーセントにとどまっている場合が多いです。

もう一つのリスクとしては、夫婦でリバースモーゲージを用いる場合です。契約者である夫が死亡した場合に、その妻が継続して居住できるか否かという観点から、選択することも重要です。なかには、住居の売却を求めてくる金融機関も存在します。

リバースモーゲージは十分に知悉されていないこともデメリットの一つでしょう。比較的地価が高いとされる、大都市圏でしか取扱いがなされないことも多々あります。

5.リバースモーゲージを利用する際の条件

リバースモーゲージの適用となる条件とは、当然ながら、高齢者が対象であるために、若年世代は利用不可能です。マンションであっても対象となることもあるのですが、ほんのごく一部の機関に限られます。現実としては、大都市圏に居住する所有権を有する土地に建築された住居を持った高齢者でしか、リバースモーゲージの利用はできないということです。

さらに、リバースモーゲージを利用するに差し当たっては、子供に住居を残さないことが最低要件であるために、申込時に、契約者の子供など全員の許諾を得る必要があり、同意書の提出を要します。子供が同居しているようなケースでは、リバースモーゲージは不向きです。

さいごに

リバースモーゲージには、適用要件があるのですが、これに適応すれば、申込みをしない手はありません。そして、潜在的な需要も高いために今後の普及の程度が、どのように推移していくかが着目されます。

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