空き家は放置するとトラブルの元になります

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日本全国で放置された空き家が増えて社会問題になっています。
人の住まなくなった空き家はトラブルの原因となります。

庭の草が伸び放題になっていて蚊の発生源になっている、不燃ごみが放置されて美観が悪い、といったご近所トラブルから、不審者が入り込んで犯罪の現場になってしまった、といった重大なトラブルまで、数々のトラブルが空き家で発生しています。

たとえ遠方に住んでいようが、サラリーマンとして平日働いていようが、所有者の方の事情に関わらずトラブルは発生し、所有者はトラブルに対応しなければなりません。

今すぐに空き家の使用方法を決めるのが難しいというならば、空き家をどうするか決まるまでの期間、きちんと空き家を管理するのが所有者の義務になります。

資産を活用するという視点からも、トラブルを避ける視点からも、家屋の痛みを避ける視点からも、空き家を放置していていいことはありません。

難しくはないけど手間のかかる管理業務

空き家の管理くらい自分でやると意気込む方でも、実際やってみると数か月で想像よりも重い負担に耐えかねるのがよくあるパターンです。

確かに管理作業を考えてみると、ひとつひとつの作業自体はそんなに難しいことではありません。

室内のカビ発生を避けるために雨戸をあけて風を通したり、室内に溜まったほこりを掃除したり、下水の臭いを消すために水を流してトラップに水をためたり、庭に生えた雑草を刈ったりすればいいのです。

毎日の生活でもやっていることの延長なのですから、どれもやり方がわからなくて悩んでしまうような難しい仕事ではありません。

多少手間がかかっても自分でやってみようという発想はそのようなところから出てきているのでしょう。
しかし問題はその手間なのです。

例えば草刈りを考えてみましょう。自宅の庭でちょっと草を刈ったり、近所の住宅を自宅のついでに草刈りしたりするなら楽でしょうが、遠隔地の空き家などだとそうはいきません。まず移動に時間がかかります。

電車なら電車代、車ならガソリン代がかかってきます。
さらに草刈り鎌や軍手など道具をそろえて持っていき、自分は汚れてもいい格好にわざわざ着替えて作業をしなければなりません。

これも自宅用とは別に新たにそろえるなら費用が発生します。
夏場なら帽子やタオルなど日光対策は必須です。
草刈り自体の大変さは覚悟していても、作業が終了して終わりではありません。

刈り取った草も自分で処理方法を考える必要があります。休みの日に回収してくれるゴミ処理場は多くはありません。

土日に作業して月曜日に捨てようと考えるならば、ゴミを休暇の間は家の中に保管して、月曜の朝に大量のゴミを捨てる仕事を残すことになります。
さらに雑草は一度刈り取っても終わりではありません。

2週間もすれば元通りになった雑草を再度刈り取らなくてはならないのです。
草刈りの手順を少し考えただけでこれだけ手間がかかるのです。

サラリーマンのように現役世代でお勤めの方だと、これだけの手順を休日にこなすのはかなりの負担になるのではないでしょうか。
そもそも平日しっかり働いて、土日の休みをさらに潰して空き家の手入れをするならば、いつ休めばいいのでしょうか。

空き家が遠隔地にあるのなら、なおさらです。
草刈りをするだけで、小旅行のようになってしまうのです。

時間は潰れるし疲労はたまります。さらに作業の日が晴れていればいいですが、雨が降っても平日の仕事の都合上、日程をずらす訳にもいかないのです。

そして雨の中の作業を気分よくできる人はいないでしょう。

このように一見簡単にみえる管理作業ですが、実際に自分でやってみると費用もかかるし手間もかかる、決して楽でない作業であることがわかります。自分で空き家の管理をやろうと意気込む方が数か月で負担に耐えかねるのも納得できます。かかるのはお金ではなく手間なのです、そしてその手間をかけることができなくなるのです。
一見簡単そうだけれども、実際にやってみると負担になるので中々できない。
まわりからすれば簡単そうに見える草刈り程度もやらないのでご近所からはクレームにつながる。

これが空き家の管理の難しさの一つなのです。

緊急時のトラブルに対応できますか

空き家で緊急のトラブルがあった場合、すぐに対応できるかどうかで費用が全く変わってしまうのはご存知でしょうか。

 よくあるトラブルとして、台風で窓ガラスが割れた場合などは典型的な状況です。
自分が近所にいて自主的に対応できるならば、大きな手間はかかりません。
台風後に見回りに行って、割れた窓ガラスを拾って、とりあえず段ボールでも貼っておいて、ガラスのサイズを測ってガラス屋さんに電話すればいいだけです。

半日後にはガラス屋さんが元通りに直してくれます。ガラスの大きさにもよりますが費用も1-2万円といったところでしょう。火災保険が適用できればほぼ無料で修理できますし、自腹だとしても費用負担も大きくはありません。

しかし自分がすぐにその場所に行けない場合は話が違います。そもそも誰もトラブルの発生を教えてくれません。
数週間後に近所の人から電話で教えてもらって初めてトラブルを知ることになります。
その数週間は誰でも空き家に入れる状態になってしまいます。

不審者が入り込んでいないとも限りません。
トラブルを知ってすぐに現地を確認できればいいですが、平日ならば動きの取れない方のほうが多いと思います。

現地の状況もよくわからないまま、復旧作業を引き受けてくれる方を探す必要が出てきます。

タウンページを必死で探して、空き家の周辺のガラス屋さんを探す羽目になります。
職人さんに現地を見てもらって見積もりをもらっても、適正かどうかの判断などつくはずもありません。
その金額でやってもらうしかないのです。
数週間前に割れたガラス窓ですから、当然雨も吹き込んでいるでしょうし、室内も雨やほこりが入っています。

ガラス交換だけでは費用が済まなくなり、清掃や壁紙の張り替えも必要になるかもしれません。
その判断をガラス屋さんはしてくれません。

ひょっとしたら和室の畳が腐って、廃棄処分が必要になるかもしれませんし、根太がやられれば大工さんを呼ばなくてはなりません。復旧の費用は膨れ上がるばかりです。
このようにガラス一枚割れただけでも、自分ですぐに動けないというのは大事になりがちです。
すなわち、対応の遅れが発生すると、復旧に時間もかかり費用が増加する上に総額が不透明になりがちなのです。

空き家が引き起こすトラブル

家の外から見て空き家と一目でわかるのが郵便ポストです。

たとえ新聞をとるのを止めていても、家の前にポストがあれば様々なチラシがポスティングされていきます。リフォームのお知らせだったり、ピザの割引であったり、様々なチラシは実際に住んでいれば便利な情報でしょう。

しかしだれもいない家のポストに溜まるチラシはただのゴミでしかありません。
そして、チラシのたまったポストを見れば空き家であることが一目でわかってしまいます。

このような状態は犯罪を誘発しかねません。直接的には放火の危険性すらあるのです。
だからといって郵便ポストにチラシが入らないようガムテープで止めたりすれば、より一層その家が空き家であることは分かりやすくなってしまいます。

可能であれば郵便ポストを物理的に撤去するのが一番でしょう。
家屋に作り付けになっていて撤去が難しく、毎日人手をかけての撤去が難しくとも、月一回などの定期的なタイミングでチラシを撤去するのが次善の選択だと思います。

 空き家を狙ったトラブルは、たまった郵便ポストのように外部から空き家と一目でわかる状態が続いてしまう場合に発生します。空き家の庭などは、室内からも表通りからも視線が遮られるため、他人が入り込んで庭にゴミを放棄されたり、落書きされたりしやすくなってしまうのです。

特に最近では生活家電のような小物でも廃棄する際には費用が発生します。わずか数百円ですが、ゴミを捨てるだけなのにお金を払うのが惜しい、といった方も世の中にはかなりの数いらっしゃるようです。

そのような方々は、自宅の近所で人目につかず捨てられる場所を探しています。
こういった不法投棄の場所を探す目で見てみると、人気のない空き家の庭などは最高の場所なのです。ひとつゴミが放置された空き家には、同じ考え持った人を引き寄せて次々ゴミが放置され、数か月であっというまにゴミ屋敷になってしまいます。ここまで行ってしまうと、撤去するにも専門業者が必要です。

トラックの代金、ゴミを廃棄する人で十万円単位のお金がかかり、これらはすべて所有者の費用負担となるのです。

空き家を放置すると罰金を受けることも

このような空き家がトラブルを産む状況を避けるため、行政も対応を始めています。
具体的には空き家対策特別措置法という対応の根拠となる法律が制定されました。

いままで空き家は個人の資産であることから、基本的には個人の裁量に任されていましたが、それだけでは対応しきれなくなってきたためです。
明らかに周囲に影響を及ぼすような空き家、壁が壊れていたり、倒壊の恐れがあったりと、トラブルの原因となったりするような特定の空き家には、行政が積極的に関わってくるようになりました。

これまでは縦割りで土地や建物の所有者情報も役所内で共有もされていませんでしたが、固定資産税の支払情報などから所有者を特定できるようになりました。

このため例え遠隔地にいようと、役所の担当者は空き家について誰が所有者か判断が着くようになりました。
個人の資産であるから口を出さない、という消極的な態度から、空き家の所有者をはっきりさせ、管理や撤去などのしっかりした対応をとらないと行政が指導を行うように変化したのです。

2015年に始まるマイナンバー制が浸透することで、どの空き家が誰のものなのかを明確にする流れは加速すると思います。これによって、いままで曖昧であった責任の所在が明確になり、倒壊の恐れがあるような空き家を放置すると指導されたり、罰金が科せられたりするようになりました。

今まで曖昧であった所有者の責任が重くなり続けているのです。

空き家を売るにも管理が必要

空き家を売却しようと思って調査してみたら、思ったより痛みが進んで住居としては使い物にならなくなっていた、という場合がよくあります。特に木造家屋は、誰も住まないと湿気がこもり、劣化が進みます。

木材が湿気を持つとカビやすくなったり、シロアリの被害が起きやすくなったりしてしまうのです。木造住宅は屋根を木の柱で支えていますので、柱の不具合は当然屋根の不具合につながります。

つまりシロアリ被害が起きた家は、屋根から床下の柱まで全体に不具合がでている可能性が高いのです。
このような見えないトラブルを抱えた家を積極的に購入したいと思う方は少ないのではないでしょうか。

その他にも普段管理していない所有者が、久しぶりに空き家に入ってみたら漏水事故が起きていて天井や壁が全部痛んでいたり、畳が腐っていたりした、などという状況はよく発生しています。住宅は人間が作ったものですのでいつかは壊れることは避けられません。

しかし、少なくとも定期的に巡回していればその劣化を拡大させることなく、最小限にとどめることは可能です。畳まで腐った家は既に空き家ではなく廃屋、ただの負債になってしまいます。
これでは売り物にはならないですし、リフォームするにしても高額の費用が掛かります。

いっそ更地にしようと考えても、今度は解体費用が掛かってしまいます。
このような事態を避けるため、定期的に空き家に手を入れてはいかがでしょうか。
最低でも月に一回程度は巡回して掃除し、風を通す必要があります。

空き家管理サービスとは?

空き家を保有するのは大変な労力がかかります。その上で、小勇者の法的な責任が強化されているのが知れ渡ってきています。

このような状況に対応するために、空き家管理サービスの提供が増加しています。

職人の目を持つ建築関係者や、巡回を得意とする警備業者、地元のトラブルを減らすためのNPOなど様々な団体が空き家管理サービスに乗り出しています。

サービスの内容としては、月に一回程度の定期的に空き家の巡回をして状況を報告してくれるのが一般的で、一回数千円を基本料金としている場合が多いようです。

所有者が遠隔地にいる場合などでは、往復の交通費だけでそれ以上かかってしまいますので、このような管理サービスはかなりお得なサービスではないでしょうか。

庭や窓など外部の目視確認の後に、室内の換気や水回りのチェックを行ってくれるので空き家の痛みを最低限に抑えることができます。

床の状態にせよ、配管の状態にせよ、実際の家屋に入って使ってみてチェックするのが一番です。
現地を見ていれば、トラブルも些細なうちに解決することができます。
空き家を将来売却するにも、痛みのひどくなった家では売るに売れません。資産として空き家を持っていたはずが、管理の手間に耐えかねて安売りするのでは本末転倒もいいところです。
余裕をもって将来の選択肢を考えるためにも、月数千円の管理サービスを活用してみてはいかがでしょうか。

空き家管理サービスの魅力

定期的な巡回サービスを利用すれば、空き家の寿命を延ばせます。

その期間を有効利用するのが最大の魅力です。例えば空き家を売却するのでも、管理に困って売却するのであればどうしても相手に買いたたかれてしまいます。

土地家屋を高く売却するコツはあくまで余裕をもって交渉に臨むことなのです。日々の管理に追われて、どうしようもなくなって、せっかくの資産を叩き売るのは避けた方がいいでしょう。

このまま持っていても構わないけど、欲しいなら売ってあげるよ、程度の余裕を持ちたいところです。
他にも将来自分が使う場合にも定期的な手入れをしていれば最小限のリフォームで済みます。

劣化の激しい水回りでも、キッチンやトイレなど多少の入れ替えで済むのです。
まったく手を入れていない空き家では水回りの配管が傷みやすくなります。

 給排水をすべてやり直すには、配管だけでなく床をはがして、すべて引き直すことになります。
ちょっと風呂場の更新をしようとしたはずが、家全体を入れ替える大規模な工事になりかねません。

価格にして数百万円変わってしまうのも珍しい話ではありません。
小さなお金を使うことで、将来的に大きなお金を節約することができるのが空き家管理サービスの魅力です。
自分の選択肢を残しておくために、管理に少額のお金を出して積極的に活用してみてはいかがでしょうか。

 

 

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