田舎生活はこんなにお得?各自治体で続々導入される移住者支援制度とは?
ニュースなどでも取り上げられ始めた話題の1つに、移住者支援制度というものがあります。
特に、大都市圏ではなく地方都市にあたる郊外の自治体を中心に率先して導入され始めているこの制度ですが、実際にはどのようなメリットがあり、またどういった方が実際にこの制度を利用する事ができるのでしょうか?
目次
1.移住者支援制度とは
移住者支援制度とはその名の通り、他の地域から当該の地域に移住し定住してくれる方を対象にした、移住先に於ける支援を自治体や地域全体が実施する制度のことです。
近年、人口減少が叫ばれると共に、人口の大都市圏一極化が加速化している点も社会問題として取り上げられるようになりました。
こうした減少を解消するべく、人口減に悩む地方都市が解決策として導入を率先している対策の1つが、この移住者支援制度に当たります。
1-1.どういった人が対象になるのか?
移住者支援制度は、この制度を実施している各自治体に全ての裁量が一任されています。ですから、同じ移住者支援制度を導入していても、各自治体によってその詳細な支援内容や対象となる人など条件に違いがあります。移住者からといって必ずしもこの制度の対象となるというわけではない点に、あらかじめ注意しておく必要があるようです。
1-2.生活基盤が構築できるまでの支援が中心に
実際に移住者支援制度を活用して、大都市圏から地方都市へと移住する方が、若い世代や定年を迎えたリタイア世代を中心に増加しています。
その理由として、移住者視線制度を活用することによって、例えば移住先で必ず必要となる居住地を安価で、或いは無料で確保できるだけでなく、定職を持つ場所から敢えて移住する上で必要な安定収入を得るための就労支援が受けられる制度が特に人気を集めています。
年金収入が得られるリタイア世代だけでなく、安定収入を得るために就労が必要となる20代~50代前後の若年世帯でも移住者や移住世帯が急増している背景には、こうした理由が挙げられます。
2.移住者支援制度の実例
では、実際に移住者支援制度はどのような形で導入されているのでしょうか?
この制度を本格的に、或いは試験的に導入している自治体の実例を見ることで、その魅力や特徴を詳細に捉えることができます。
2-1.居住地の提供や期間限定の資金援助が中心
移住者支援制度を実際に導入している各自治体の制度を詳細に見てみると、ほぼ全ての移住者支援制度で導入されているのが、移住先の居住地となる住宅の提供です。
深刻な高齢化と過疎化に悩む北海道置戸町では、1年以上の町内での定住を前提条件に、町内にある中古住宅の無償提供を実施しています。定住する世帯の家族人数などに応じて提供される中古住宅の間取りにも違いがあり、両親と子供2人の4人世帯の場合、3LDK~4LDK程度の戸建て中古住宅が無償で永続的に利用可能となるなど、破格の条件が提示されています。
また、和歌山県では、県が実施する移住者支援制度としては異例となる、移住対象の若者に対し、最大で250万円もの資金援助を行う制度を盛り込んでいます。若者とは20歳から40歳未満の間に当たる方のことで、あらかじめ設定されている世帯要件に応じて支給額が変化しますが、移住するだけで現金が支給される制度として大金の昇る点が話題となりました。
2-2.島根県の実例
県全域を対象に移住者支援制度を導入している都道府県の1つが、島根県です。
出雲大社などでも有名な島根県では、慢性的な都会への若者世代の流出と深刻な高齢化が現実問題となっており、県だけでなく島根県内の様々な自治体でも移住者支援制度や移住者の招聘を実施するなど、率先して移住者獲得に邁進している地域です。
島根県では、移住者を対象に島根県内での対象の伝統芸能や介護職、農林漁業など産業体験を3ヶ月~1年間にわたって受けた方を対象に、移住の際に必要となる費用の一部を助成する制度を導入しています。月額6万円~12万円の範囲で、条件に合わせて現金支給の形で支払われるのが特徴。特に、子育て世帯の移住者に対しては、この助成金にプラスして更に3万円加算される点が評価され、着実に移住者獲得に成功しています。
2-3.北海道利尻町の実例
日本最北の場所に位置し、中でも離島という特性から深刻な人口減少問題に直面しているのが、北海道利尻町です。利尻昆布などの一大産地としても有名な利尻町は、離島という特殊な環境から、少子高齢化に現在直面しています。
こうした状況を打破すべく、利尻町では2つの主要制度を盛り込んだ移住者支援制度を実施しています。
1つは、転入奨励金制度で、これは利尻町内への本格的な生活基盤の移設を行い継続して定住した上で、町内で就業が認められた世帯に対し、最大で100万円の現金を支給する制度です。利尻町と言えば、島内産業の大半が漁業を占めており、また漁業の後継者不足が深刻化しているため、漁業振興を同時に実施する施策として導入されています。
また、もう1つの制度が後継者支援制度です。上述したように、漁業者の後継者不足が深刻化している点をうけ、利尻漁業協同組合の正会員として5年以上就業した移住者に対し、初年度が50万円、2年目と3年目にはそれぞれ25万円の合計100万円の資金を交付しています。
これら2つの制度を活用すれば、移住者として現地で定住し就業することで200万円もの大金が受け取れるというわけです。
ウニや昆布など利尻の特産品を収穫する漁業者としての就業の意志があるのなら、是非利用したい制度といえます。
2-4.新潟県佐渡市の実例
かつては金山や銀山など鉱山都市として栄えた歴史を持つ離島自治体、新潟県佐渡市でも、独自の移住者支援制度を実施しています。
この自治体の制度ならではの特徴と言えるのが、定住者だけでなく移住体験を行った人に対しても、一定額の支援制度を認めているという点です。
例えば「さど暮らし体験住宅」制度では、最低1ヶ月以上~最長6ヶ月までの間、佐渡市内で定住を希望する方に対し、定住先となる住宅を月額5000円、月額1万円の2つの格安住宅を提供し定住体験を促進しています。
また、「島暮らし定住体験旅費補助金」制度では、佐渡市内にある宿泊施設を利用し1週間以上定住体験を行った人に対し、佐渡市内までの移動に掛かった交通費と現地での宿泊費の各50%を助成しています。3万円あるいは40才未満に限り5万円という上限が設けられていますが、移住体験にかかる費用がどうしても気になるという、移住に興味を持っている人を後押しする制度として人気です。
この他にも、現地で定住を決めた夫婦の合計年齢80才未満の世帯に対し、家賃の半額を1年間助成する制度を行うなど、現地での定住に掛かる費用を全体的に助成する制度を実施しているのが特徴です。
まとめ
いかがでしたか?
全国的に社会問題化している大都市への人口一極化と地方の過疎化問題。これに対する明確な対策として、今回ご紹介した移住者支援制度が徐々に効果を発揮し始めています。
田舎暮らしに憧れている方や、第一次産業など物づくりを生活基盤にしたいと希望する方にとって、この制度はまさに迷っている背中を後押ししてくれるかもしれません。
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