広い土地を分筆して活用する|手続きの流れと費用は?
相続した土地が広すぎて管理しきれない。税金の支払いも心配・・・。そんな時に考えることは土地の売買です。ただ、広すぎる土地に買い手がつかない・・なんてこともあると思います。そんな時は土地の分筆がお勧めです。通常は、一つの土地は一人の買主に売ると考えるものですが、土地を分筆すれば複数の買主に売ることができるのです。
目次
1.土地の分筆とは?
「一つの土地を複数の土地に分割すること」を分筆と言います。分筆された土地には新しい番地がつくことになります。例えば、「36」という番地を二つに分泌したら、「36-1」と「36-2」という番地になります。
分筆は、綺麗に二つにするわけではなく、好きな面積で分けることが可能です。もちろん、二つに分けるだけではなく、複数の土地に分けることもできます。ちなみに、「別れている土地を一つに繋げる」作業は「合筆」と呼んでいます。
1-1.土地を分筆したいと思う時ってどんな時?
土地を分筆しようと思うのは、主に次の様なケースが多いようです。
・土地の一部分だけを売買したい時
・土地の一部の地目が違う時
・相続した土地を複数の相続人で分けたい時
・共有している土地を分筆して、単有に変更したい時
・固定資産税を節約したいとき
・土地を担保にして融資を受けたい時(分割していない状態だと、全ての土地を担保にされてしまいますが、分筆しておけば一部の土地を確保しておくことができます)
この記事を読んでいる人が、今後このようなケースにぶち当たったら、土地の分筆を検討してみてはどうでしょうか?
1-2.土地は分筆できないケースもある
土地は必ず分筆できるわけではなく、できないケースもあります。それは、分筆した後の土地が「0.01平方メートル未満」になっている場合です。しかし、これは法律上で決められているわけではなく、あくまでも実務上の解釈となっています。
実は、分筆に関しての法律の制限は存在していないのです。したがって、土地の所有者が希望をしているのであれば、土地の分筆は原則行えるということになっています。
2.土地の分筆の手順について
土地の分筆は、どのような手順を踏んで行うのか?大まかな流れを説明していきましょう。
2-1.ステップ1:土地の境界確定測量する
分筆しようとしている土地の境界がはっきりしていないと分筆登記することはできません。そのため、境界確定測量というものを行います。
境界確定測量は、現場の状況やいろんな資料を用いて、境界の位置を推定する作業です。その境界の位置に関しては、周辺に隣接する土地の所有者と立会いを行いながら進めるので、なかなか大変!周辺の土地の所有者が納得してくれないと、作業が前に進まないこともあるのです。そんなやり取りをした上で、無事に土地の所有者と合意できたら、署名と捺印をもらうのです。
2-2.ステップ2:地積更正登記する
境界確定測量が終わったら、そこから算出できる地積を登記記録の地積と比べます。ふたつの地積が、公差をオーバーしていたら、土地の地積を更正しなければいけないのです。これを「地積更正登記」と言います。しかし、これは必ずやらなければいけないことではなく、必要な時にだけ行う作業です。
2-3.ステップ3:境界標を置き、登記所に申請する
分筆する土地の位置を検討し終えたら、境界標を設置して分筆する位置に印をつけます。
ここまで作業が完了したら、これまでの作業で記した地積測量図を作ります。そしたら、それを登記所に申請するのです。
3.土地の分筆は誰にお願いすれば良いのか?
「土地の分筆をお願いしてみたい」と思いたっても、誰に頼んだら良いのかわからない人たちがほとんどだと思います。土地の分筆は、土地家屋調査士に依頼するのが一般的となっています。
土地家屋調査士は、測量や不動産登記の専門家です。土地家屋調査士は、法務省による土地家屋調査士試験に合格しなければならないので、信頼性の高い職業となっています。土地家屋調査士は、土地の分筆を行うだけではなく、手続きの代理なども行ってくれるので、初めて土地の分筆を行う人でも安心してお任せすることができるのです。
土地家屋調査士は、専門の事務所に勤めていますから、インターネットなどを利用して事務所を探してみましょう。事務所と契約を結ぶ時は、過去の仕事実績なども確認した上で結ぶようにしてください。全ての土地家屋調査士の事務所が良い仕事をしてくれるとは限りませんからね。
4.土地の分筆費用と期間はどれぐらいかかるのか?
土地の分筆費用は、分筆に立ち会う人数や土地の大きさ、土地の形によって異なるので、はっきりとは言い切れませんが、最低でも30万円は必要だと考えておきましょう。もちろん内容によってはもっと高額になり、100万円以上かかる場合もあります。詳しい金額は、土地家屋調査士の事務所にて見積もりしてもらいましょう。
見積価額は土地家屋調査士によってかなり開きが出ることがありますから、複数の事務所で見積もりを出してもらって、比較することをお忘れなく。見積もりのみなら無料で対応してくれる事務所が多いはずですよ。
土地の分筆は、正式に分筆登記するところまで考慮すると、1週間から10日ぐらいが相場期間となっています。しかし、土地があまりにも大きい場合や、近隣の理解が得られにくい場合には、もう少しかかるかもしれません。しかし、長引いたとしても、1か月かかるようなことはないでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、上記の様な内容で土地の分筆にせまってみました。土地を分けなければいけない状況はあまりないかもしれませんが、覚えておいて損のない知識です。今現在、大きい土地を所有しなくても、将来土地を引き継ぐ可能性がある人たちは、事前知識として覚えておくと役に立つので勉強をしてみてはどうでしょうか?
この投稿へのコメント