農地集積バンクは田舎の空き家と耕作放棄地を減らすことはできるのか?

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農地の所有者には適切な管理が義務付けられていますが、実際に手が回らない人が多いのも実情です。原因は高齢化や後継者不足など様々ですが、耕作放棄地は増えているのです。耕作放棄地が増えることで鳥獣被害が増えるなど、実際に影響を受けている地域も増加しています。

日本政府も今後の日本の農業を維持する上で重要な問題と認識しており、2014年から農地を借り上げて補助金を出す農地集積バンクという取り組みが始まっています。メリットが多い一方でデメリットも存在するため、どのように利用するかが問われています。

1.耕作放棄地は増えつつある

日本の耕作放棄地は空き家同様増えており、社会的な課題となりつつあります。空き家が防犯上のデメリットとなるように、耕作放棄地が発生することで様々な問題が生じる可能性があるからです。実際に影響を受けている地域が増えていることも見逃せないポイントです。

1-1.農地には適切に管理する義務がある

空き家には適切な管理をする義務が存在します。これは空き家を悪用するなど、犯罪を助長する恐れがあるだけでなく、建物の倒壊などの恐れがあるためです。同様に農地にも適切に管理を行う義務が課せられていて、引き換えに固定資産税などが割安になるなど優遇を受けられるようになっているのです。

耕作放棄地が増えると、猪や猿など、農作物を荒らす害獣が街に入り込みやすくなります。また、山林の場合は地すべりが起こりやすくなるなど保水の面でもマイナスになることがあります。農業が行われることで周辺に与える影響は意外に大きいのです。

1-2.増税も視野に入れられている

耕作放棄地の問題は政府も認識しており、改革のための様々な取り組みを行っています。その1つが増税で、耕作放棄地に対して従来の税金よりも重い課税を行うことが検討されているのです。もともと農地は通常の更地よりも固定資産税が低くなるように設定されているため、管理義務を怠るとそれだけ税負担がます可能性があるのです。

農地を持っている人やこれから相続する人は、どのように管理していくかが重要になるのです。

2.農地集積バンクは政策の目玉の一つ

耕作放棄地の問題は様々な要因が重なって生まれているものです。そのため、政府は農業改革の1つとして農地集積バンクという仕組みを作り、農地の貸し借りを行うことで耕作放棄地を減らそうとしているのです。

2-1.農業の効率化を考えたのが農地集積バンク

農業の効率化と耕作放棄地を減らす目的で作られたのが農地集積バンクです。

農地集積バンクでは耕作の予定がない農地を借りて、実際に耕作をしたい人に貸すための仲介を行っています。農地集積バンクを利用することで、貸し手には補助金が入るだけでなく、農地管理の義務を全うしているとみなされます。

借り手は作付面積を増やすことが出来ます。特に地方は農地が分散していることが多く、他の農地へ移動するまでの時間や労力が生産コストの上昇に影響を与えています。自分の持っている農地の近くの畑や田んぼを借りれば、借り手は効率よく農業を行うことが出来るのです。

2-2.デメリットも存在する

農地集積バンクにはデメリットも存在します。農地の貸付は10年以上と定められていて、途中で返してもらうことが出来ないのです。相続などの問題が絡んでしまうと、10年は長すぎると感じる人も多く貸付をためらう人も多いのです。

また、農地を貸して誰が借りるか、どんな作物を作るかは依頼をかけないとわからない部分になっています。誰が借りるかわからないのであれば貸せないという人も多く、制度を利用する人が少ない原因の1つになっています。作物を作るのには土作りが重要になるケースが多く、10年後に何を作れるかは返してもらわないとわからない部分もあります。

3.大切なのはメリットを生かすこと

農地集積バンクにはメリットとデメリットがありますが、まったく利用しなければ損になってしまう可能性があります。これは地域の実情に合わせて貸し借りのための行動をしないと、税負担などの面でマイナスになる可能性があるからです。貸し出しがうまくいけば少なくとも10年は貸し続けられるなど、よい面に目を向けることが大切です。

3-1.地域の実情を知るためにも重要に

農地集積バンクの利用方法は貸し借りだけではなく、売却の目途を立てるのにも役立ちます。農地集積バンクは近隣の農家など、実際に貸して耕作をする可能性がある人に紹介を行うのがメインになります。借りたいという人自体がいなければ、さらに耕作放棄地が広がっていく可能性があります。

地域の農業の実情など様々な情報が得られるため、過疎化が進む前に売却するなど様々な活用方が見出せるようになるのです。早めに売却を行って税負担を軽くすることも重要な資産運用の形です。状況は悪化していく恐れがあるからこそ、一度情報を確認した方がよい部分があるのです。

3-2.貸し出せば少なくとも10年は借りてもらえる

デメリットと捉えられがちな10年以上の貸し出し期間も、10年は問題を先送り出来ると考えればメリットになることがあります。10年間考える時間を作り、それから処分などを考える方法もあるからです。わからない人に貸せば農地の価値が落ちると考える人もいますが、作付面積を考えた場合は農業に真剣な人が借りる可能性が高く、より利便性や生産性が高い状態で返してもらえる可能性もあります。

農地を貸すことで価値が上がる可能性もあるのです。

3-3.まずは相談してみるのがおすすめ

農地集積バンクの利用実態は地方によって異なり、利用が進んでいる地域もあります。また、借り手の需要は非常に強く、大規模な農地運用で成功している人もいるのです。まずは相談して内容を確認することをおすすめします。農地集積バンクは農地中間管理機構が運営していますが、管理は市区町村単位で行われています。市区町村役場の農政担当者や農業委員会に相談した方がスムーズなことがあるのです。

まとめ

農地集積バンクは農地の貸し借りを促進し、農業の効率化を進めるための制度の1つです。メリットがある一方でデメリットを気にして利用しない人も多く、課題の1つになっています。

しかし、まったく情報を集めなければ、状況は悪化していく恐れもあります。売却や農地集積バンク以外への貸し出しも含め、一度問い合わせてから検討を行った方がプラスになるのです。

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